この記事のもくじ
アンダーマイニング効果ってなに?
趣味と実益という言葉がありますが、趣味でやっていたことを仕事としてやりだしたとたん今まで好きでやっていたことが嫌になってしまう現象があります。
数年前に画家としても世界的に評価されているジミー大西さんが、焼き鳥屋さんで時給850円のバイト募集の張り紙を見た時、自分の仕事を時給単価に置き換えるとそれよりも少ないことがわかって絵を描くことをやめたという話を聞いたことがあります。
最初は能動的・自発的にやっていたことが他人に評価され、報酬を与えられることによっていつのまにかやりがいや、やる気を失ってしまう現象のことをアンダーマイニング効果といいます。
ジミー大西さんも絵画が趣味だけで終わっていたのなら、今も絵を描き続けていたかもしれません。
子どものやる気を失わせる
例えば子どもが自分で好きな科目を見つけて勉強をしていたり、好きな絵を描いていたりすることにご褒美としてお小遣いをあげたりしていると、成績が下がったり絵を描かなくなったりするという話を聞くことがあります。
やりたいという気持ちでやっている
子どもは勉強にしても絵を描くことにしても自分でやりたいという気持ちを動機に行動していて、決して終わった後にドーナツを食べさせてもらえるからや、お小遣いをもらえるからという気持ちではやっていません。
それに好きでやっている事の最中も、やり終えた達成感に対しても、満足をしている状態になります。
指示を与えたことと同一になる
ではもし報酬を与えてしまうことが当たり前になってしまうとどうでしょう?
与えられる報酬が目的になってしまいその途中はあくまで作業することに置き換わってしまいます。
大人の言い方をするならタスクをこなすみたいな感じでしょうか。
報酬がいらないからやらない
絵を描いたあとに毎回ドーナツを与えていたらどうでしょう。
ある日ドーナツを食べ飽きてしまったり、おなかがいっぱいで食べたくない場合、ドーナツを食べたくないので絵は描かないという気持ちが生まれてしまう可能性だってあります。
実際にこんな約束していませんか?
アンダーマイニング効果は日常的に子どもにやってしまいがちになります。
たとえばこんなことはありませんか?
食事の時に集中しないので好きなアニメは見せないけれど食後はOK。
その時の約束の仕方はいくつかのパターンがあります。
A.ご飯を全部ちゃんと食べれたら好きなアニメかけてあげるよ。
B.アニメはご飯のあとに見ようね。
C.なにも言わずアニメは食事が終わったら見せる。
この中で一番危険なのがAです。
Aはご飯を全部食べるという条件を親に与えられてしまっているので、自分でご飯をちゃんと食べるという目的が発生せず、親から与えられた目的を達成するために行動してしまうのでやる気を失ってしまうわけです。
自己肯定感
アンダーマイニング効果について調べると必ず自己肯定感という言葉が出てきます。
他人の言葉が気になったり人の評価を気にしてしまったり、自分はダメな人間と思えてしまうのは自己肯定感が低いことが原因で、世界的に見ても日本は自己肯定感が低い国だといわれています。
褒めるだけで十分
アンダーマイニング効果はわかりましたが、じゃあ今後は子どもとどうやって接していくのがいいのでしょうか?
それは褒めるだけで十分です。
絵を描いていたなら、上手、どうやって描いたの?すごい、きれいな色使いなど言葉で褒めるだけで十分です。
それだけで子どもは自分のやったことを肯定的に捉えやる気を持ってくれます。
ちなみにこういう事をアンダーマイニング効果の反語としてエンハンシング効果といます。
こちらに関しては今後のエントリーでまとめますね。
最後のまとめ
子どもの満足感を高めるためと思っていたのに逆効果の事をやっていたってショックですよね。
私も忙しくて次の行動に素早く移さないと行けない場合についつい報酬を与えがちになるのですが、この効果を知ってからは違う方法を使うなどを実施しています。
今からでも遅くはないので、自分の言葉を意識してみると子どものやる気も変わってくるかもしれませんね。